プレゼントイメージ

彼が初めての彼女である私にくれたプレゼント

もう何年も前の話ですが、彼と付き合い始めた頃、私は自分の好みの品や興味のある品を、それとなく彼に伝える努力をしていました。
一緒にテレビを見たり街中を歩いたりしている時に、自分の好きな商品を見かけたら、こういうの可愛いねと言うようにしていたのです。
主にクリスタル細工やラインストーンによるデコアイテムなどキラキラしたものなのですが、そういうものが好みであることを彼に知ってもらいたくて、機会があれば遠まわしに主張していました。
真っ向からおねだりをするのではなくて、彼に自分の意思で、私の好みのものを買って欲しかったのです。
我ながら面倒くさい彼女だと思いましたが、これをしておかないと、誕生日などに趣味に合わないプレゼントを渡されかねません。
もちろん彼が買ってくれたものなら何でも嬉しいのですが、あまりにも趣味とかけ離れているものだと使用する気にならないかもしれません。
彼をガッカリさせないためにも、本心から喜べるプレゼントを選んで贈ってもらいたかったのです。
しかし彼にとっては私が初めての彼女であり、それがゆえに女性慣れしておらず、私がそれとなく話の端々で主張してきた内容は、彼には雑談のひとつにしかなっていませんでした。
つまりは全く頭に入っておらず、結局誕生日に贈られたものは、キラキラしたアイテムではなくてオルゴールでした。
プリザーブドフラワーのバラが入ったケースがオルゴールになっているというもので、品があって素敵なプレゼントではありましたが、私は彼が私の真剣な主張を全く受け止めてくれていなかったことにガッカリしました。
それでも喜んでいるふりをしていると、彼が話してくれました。
このオルゴールの曲は、自分が小さい時に家族とテーマパークに行った時に流れていたもので、自分にとってはとても思い入れのあるものだ、とのことでした。
そしていつか私ともそのテーマパークに行き、新しい思い出を作りたいと言ってくれました。
そういえば以前も彼は時々、その曲を気に入っていると言っていました。
その時私は初めて気づきました。
彼はずっと、私をそのテーマパークに誘ってくれていたのです。
私と同じように、話にそれとなくその曲のことを織り交ぜながら、一緒に行きたいという気持ちを伝えようとしていたのです。
私は自分の好みを理解してもらおうとしてばかりで、彼の気持ちを理解する努力を全くしていませんでした。
私は深く反省し、その数ヵ月後であるクリスマスには、お互いへのプレゼントとして一緒にそのテーマパークに行き、夜を過ごすことを提案しました。
彼ははにかみながらも、喜んでくれました。
それから数年たち、今現在私と彼は結婚して夫婦になっています。
あの時プレゼントしてもらったオルゴールは今でも大事に部屋に飾られていますし、テーマパークの曲は、今では二人にとっての思い出の曲となっています。

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