新しいお父さんが最高のプレゼント
私の父は私が幼い頃に家を出ていきそれ以降会っていません。
高校生の頃、母が結婚したい男性がいると言って紹介されました。
優しくてまじめそうな人柄は、見た目からもわかるのですが、赤の他人をお父さんと読んでもらいたいと言われても困惑するばかりでした。
高校を卒業し、大学進学の為に一人暮らしを始め、そして社会人になり多忙な毎日を送っていました。
地元に帰省しても父とはやはり他人行儀の様な感じで接していました。
それからほどなくして私にも結婚を考える相手が現れプロポーズをされました。
結婚報告の為に実家に帰省したのですが、母と同様に父も喜んでくれました。
「君には何もしてあげていないけれど、幸せになって欲しい」と涙をこらえながら祝福してくれました。
そこで気づいたのが、私にはこの人がいたから大学にも進学ができたのだと言うことです。
わかってはいたけれど、現実を直視するのが怖くて考えることを拒否していました。
金銭的な義務だけを負担して親の様な顔をされたくないと思っていたのかもしれません。
いずれにせよ、認めることが嫌だったのです。
しかし、自分も親同様に結婚するとなって気付いたのですが赤の他人を子供として面倒を見ると言うことは、どれほどの覚悟をしたのだろうということです。
一人でいる方が気楽であっただろうに、突然大きな重い荷物を負担することになるのですから、並大抵の覚悟ではなかったとわかったのです。
主人も、「ご両親のことは聞いていたけれど、男として見て魅力的な方だよ。僕はあの人の息子に慣れて幸せだよ」と言ってくれました。
そのことを聞いて、今までの自分の態度が恥ずかしくもあり、そして親に対して誇らしく思う様になりました。
結婚報告の際に「素晴らしいプレゼントをありがとう。こんな素敵な男性を見つけてきたんだから、素敵な女性に育ったと言うことだね。誇らしい。今日は今まで生きてきた中で一番いいプレゼントをもらったよ」とも言ってくれました。
私の実家に帰省するたびに、家族みんなで美味しいお酒を飲んで楽しいひと時を過ごすのが恒例になっています。
子供が生まれた時も両親は大喜びしてくれましたし、孫の顔が見たいと言っては私たちの住まいにも度々訪れてきます。
血は繋がっていないけれど、そんなことは私たちには関係ありません。
家族みんなで仲良く生活することができているので、気づくのが遅くなりましたが私にとっても父ができたこと自体が大きなプレゼントになっていたのです。